こんにちは。広報の中嶋です。
今回はお家の間取りを「ぶどう」と「りんご」にみたてたお話です。
R+houseでは、ある特徴を持つ間取りの家を「ぶどう型の家」「りんご型の家」と分けて呼んでいます。
「ぶどう」と「りんご」
ぶどう型の家の特徴
小さな実の集合体「ぶどう」を家に見立てると、

小さな実の集合体「ぶどう」を家に見立てると、
・それぞれの「実」=それぞれの居室
・実をつなぐ「枝」=廊下
・集合体である「房」=家
というイメージです。
りんご型の家の特徴
対して、リンゴ型の家は
丈夫な皮の中に、瑞々しい実がギュッと詰まっているようなイメージです。
「ぶどう」であっても「りんご」であっても、予算内で建てられ、それぞれの家族、そして暮らしに合った使い勝手のいい暮らしやすい間取であることが重要です。

「ぶどう」であっても「りんご」であっても、予算内で建てられ、それぞれの家族、そして暮らしに合った使い勝手のいい暮らしやすい間取であることが重要です。
なぜ今「りんご型」の家が増えているのか
「ぶどう型の家」からの脱却
戦後の日本では、欧米に習ってか圧倒的に「ぶどう型の家」が多く建てられました。

戦後の日本では、欧米に習ってか圧倒的に「ぶどう型の家」が多く建てられました。
私自身も子ども時代を「ぶどう型の家」で過ごしました。
廊下を曲がった先にある、薄暗いトイレや、北の角にある台所が怖かったり、完全に分断された2階の部屋には、一人で上がれませんでした。
毎日、生活している家なのに、なぜか不気味なイメージがあった半面、いつも家族の集まる居間(茶の間)は一番好きな空間でした。
土地が広く、大きな家が作れて、赤ちゃんの頃から自分の個室を持ち、そこで過ごすという生活スタイルや作法の定着している文化や国において「ぶどう型の家」は理想です。
しかし、茶の間で家族が集まり、ご飯を食べたり、テレビを見たり、時には勉強したり、そんな生活文化のある日本人に「ぶどう型の間取り」はあっているのでしょうか。
「フレンチモダン」「北欧」「カリフォルニア」「ヴィンテージ」「シンプル」「ナチュラル」etc・・・外観やインテリアのスタイルが欧米化し多様化する中、間取だけは昔の日本の居間のような場所を連想させる「りんご型」へと変化しています。
昔から、日本人は畳の部屋で生活をしていました。
畳の上を歩き、座り、ご飯を食べ、家族団らんの後は、机を片付けて布団を敷けば寝る場所にもなります。
そんな、なんにでも使える畳の空間は戦後、より豊かな庶民の生活を求めた「食寝分離」という住宅計画論によって、消えてしまいました。
この、住宅の変化は日本の住宅(間取)の発展に大きく貢献しているのですが、日本住宅の性能が向上し、人々の暮らしが豊になってきた今、フレキシブルに使っていた畳の居間の在り方を現代風に変化させたのが「りんご型の間取り」ではないかと思います。
「食寝分離」から発展した、用途によって部屋を使い分けるという「ぶどう型の間取り」からの脱却です。
「りんご型の家」のたくさんのメリット
りんご型の家のメリットを考えてみました。

りんご型の家のメリットを考えてみました。
①昔は、家の角に置かれていたキッチンが家の主役に!
キッチンとリビングが一体空間となり、料理をしながらでも家族とコミュニケーションがとれます。
②開放的な吹抜けが作れる。
自然の光を取り入れられるので、薄暗い2階へ上がるということもなくなります。
また、家族の気配や話し声も聞こえて居心地がよさそうです。
③廊下を作らないことで、空間が広く作れる
「収納スペースが欲しい」というのは、家づくりに求めることでいつもランキング上位。
無駄に廊下を作り、狭くなった居室の中にさらに収納を設けると、なんだか窮屈な印象ですが、
りんご型の家では、不要になった廊下分のスペースを収納にすることもできます。
④コストを抑えられる。
壁や、廊下が少ないスッキリとしたシンプルな空間は、コスト削減にもつながります。
⑤フレキシブルな使い方のできる家になる。
各空間に「ここは、〇〇をするための場所」という、定義を設けないからこそ、家族が好きな時に、好きな場所で、好きなことをする。という自分の居場所と呼べる空間ができやすくなります。
また、シンプルでフレキシブルな空間は変化する家族構成や老後の自分たちの生活にも対応できる可変性を兼ね備えています。
お家時間が、もっと好きになるかもしれません。
りんご型の家の注意点

たくさんのメリットがありますが、そのメリットを最大限に発揮するための注意点もあります。
①吹抜けを作ると寒い?
暖かい空気は上に流れますので、断熱性、気密性の悪い家では1階が寒くなり、電気代もかかります。
吹抜けのある家で快適に、電気代を抑えながら生活するためには、性能の良い家ということが必須条件となります。
②広々とした空間はほんとにコストが下げられるのか?
広々としたLDK。明るい光を取り込む空間。
簡単そうに見えますが、コストを下げながら、適度な場所に窓を設け、なおかつ耐震性も保持するためには高い設計力が求められます。
さらに、だだっ広いだけの空間ではなく、広く感じるのに生活してみると、何となく仕切られていて居心地がいい。という空間づくりであれば、住宅に特化した建築家たちの設計が必要となるかもしれません。
現在、私たちがお家づくりをさせていただいているお家も「りんご型」のお家がほとんどです。